建設業許可において、請求書と通帳の役割は大きいです。
契約書を結んで受ける工事や注文書や請書がある場合はいいのですが、そのようなものがない場合、工事を請け負ったことを証明できるのは、自社で発行する請求書と入金が記載された通帳だけになります。
- 経営業務管理責任者としての経営経験を証明する場合
- 専任技術者を実務経験で証明する場合
この2つの場合、請求書と通帳が大きなポイントとなります。契約書や注文書と違って、請求書は自社で発行するものですから、言葉は悪いですが、後から作れると言ってしまえば作れてしまいます。もちろんそんな事をしてはダメですよ!ですから通帳が一番厳しく、審査機関で慎重に審査されます。
請求書
まずは、請求書ですが、これもただ必要年数分あればいいという訳ではありません。
なぜなら、使える請求書と使えない請求書があるからです。
人工出しNG
建設業に従事されている方にとっては、「人工出し」という工事の応援で職人を貸し出すのは一般的なものらしいのですが、実はこれは「建設業の請負」とは認められない事を認識していらっしゃるでしょうか?
ですから、請求書に、工事の請負ではなく「人工出し」であると疑われるような書き方がしてあると、その請求書は裏付け書類として認定されません。「人工出し」は建設業ではなく、兼業の人材派遣業とみなされます。
たとえ6年以上個人事業主として経営されていたとしても、工事の請求書の内容が「人工出し」と読み取れるような請求書しかなくては、建設業を請負っていたとは認定されないのです。
何の工事かが読み取れない
また、経管の証明や専任技術者の実務経験を証明する場合、請求書に書かれている事項で何の工事であるか(申請業種の工事)読み取れないと、それだけでは認定されません。申請業種の工事である事を証明できる別の書類を補強資料として提出するように言われます。(材料カタログ、施工中の現場写真、見積書、工程表、施工計画書など)
ですから請求書は、自社と工事の発注業者だけがわかるように作成するのでなく、建設業の素人が見ても、その業種の請負であると読み取れるものを作成してないと、裏付書類にならず、とても苦労します。
請求書に◯◯建築工事とだけ書かれていて、塗料の商品番号が載っていても、それだけでは塗装工事なのかどうかはよくわからないという事です。
これが、◯◯塗装工事と1行書いてあればよかったのですが・・・
ですから、その工事を証明書類として使用するのであれば、補強資料として、その塗料のカタログや、工事の工程表や施工計画書もプラスで持参しなければならなくなるという事です。
そのように請求書等の記載には充分な注意が必要なのですが、皆が皆、許可申請の事を念頭において請求書を発行していないので、使えない請求書が本当に多いのです。
だからと言って、後から偽造するなどは、言語道断、絶対にやってはいけませんよ。
一番いいのは、5年の経営経験の年月が経過する前に、できれば建設業を始めてすぐにご相談いただき、注意事項を念頭において経営年数を積んで頂く事なのですが・・・。なかなか、難しいですね。
入金確認
通帳
工事の発注先からの入金は、必ず振込に!これ基本です。
1つの工事の証明書類として、上記の請求書とセットで通帳の原本が必要になります。
請求書の金額が入金されている通帳です。この2つの原本とコピーを申請窓口に持参して、原本確認してもらいます。
ですから、通帳の保管をきちんと保管されていないと、また苦労されます。請求書と入金額の誤差まで確認されます。振込手数料以外の場合は、理由書の添付が必要になります。
現金で受領は避けてもらいたい
銀行を通さず現金で工事代金をお支払頂きそのまま金庫に入れた場合で、領収書の控しかない場合は、静岡県では証明書類として認められておりません。
ただし、その金額をすぐに口座に入金し、それが通帳に記載されているのであれば、領収書の控と通帳の原本のセットで、なんとか認めて頂けるようです。
でも、基本は通帳です。銀行という第3者機関を通して、入金が確認できるというのが、審査機関の基本の考え方ですので、工事代金は口座に振り込んで頂くように、お客様にはお願いして下さい。