建設業の労働者を労働者派遣法に基づいて派遣するのは、法律で禁止されています。
第4条
何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない 。
二 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)
なぜ、このように禁止されているかというと、建設工事は複数の企業が混在して1つの完成物を作り上げていく為、工事の遂行や指揮命令の責任者が誰なのか曖昧になるという懸念があります。
特に建設工事の現場では労働災害の危険性が高く、曖昧な指揮系統が事故を招きかねません。労働者を守るという観点からも禁止されているのです。
よく聞く1人工につきいくら、といったいわゆる人工出しも、指揮命令系統が自社ではなく他社にある場合は、請負ではなく「労働者派遣」とみなされる可能性が高いです。
では、どうすればよいか?
他の業者の現場に手伝いに行く場合は、請負契約(下請契約)の締結によって行うことができます。
他の建設業者に労働者を派遣したり、単なる労働力の提供を行うことはできませんが、請負契約を結んで下請として働くことは適法になります。
請負と派遣の最大の違いは、労働者が注文者(派遣先)から直接指揮命令を受けて仕事をするかどうかです。
契約書の形式や名称に関わらず、注文者の指揮命令の下に仕事をするのであれば派遣となり、請負業者との指揮命令系統に基づいて仕事をする場合は請負となります 。
第24条
委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。引用元: 建設業法
と規定しており、要するに「呼び名」はともかく、契約内容が「派遣」では無く「請負」であって、実情もそうであれば大丈夫です。
なお、建設業許可申請においても、請負契約以外の人工出し等は上記の理由から経営経験や実務経験とみなされません。ですから請求書の書き方にも注意が必要です。
そのような書類が何枚あっても、許可は取れませんので、ご注意ください。